過去の楓舎小屋便り

2024/3/16

責めを負うべきは有権者である。

2024年の冬はまだまだ終わらない

 まもなく春分です。しかし冬はまだまだ終わりません。三寒四温の言葉通り3月にはいってから結構な降雪があります。昨夜も「密かに 」20センチほど積もり、枯れ木に花を咲かせました。確実に日は長くなり最低気温も上がってきているとはいえ、いぜんとして降り積もる雪は恨めしく感じます。

 自民党議員の「裏金スキャンダル 」が終わりません。国会議員なんてどうせかねと権力の亡者だとしても、ここまで節操をなくすとは考えていませんでした。以前も触れましたがもはや底が抜けて際限なくむさぼるだけの存在と化していたのには、驚くばかりです。こんな者たちが「法律 」を作っているのかと思うと、かつて安倍晋三が盛んに口にした「法の支配 」なんていかにむなしい話かがよくわかります。彼らが作る法律はすべてが「悪法 」と言っていいのではないか。たとえば昨年10月から施行の「社会保険加入条件の改定」には二つのごまかしがあります。まず、その対象が年齢に関係なく一律であることです。厚生年金には70歳以上の者は加入できないと年金法で決められています。しかし今回の改定ではこの年金法には手を付けないままなのです。私がアルバイトしている会社でもそれを簡単に受け入れ、私のこれまでの働き方では社会保険に加入しなければならないというのですね。老夫婦とはいえ二人の生活に保険料を払ったあとの手取りが10万円そこそこでは生活保護よりも厳しいことは明らかです。私の場合、年金の類は一切加入してきませんでしたから今さら保険料を払うのはどぶに金を捨てるのと同様です。死ぬまで働いて年金受給の資格を得ても、年金を受給する間もなく死んでしまえばこれは恐るべき本末転倒です。そのため私は仕事の日数を減らしているのです。当然収入は減りました。どぶに捨てる金のために仕事をするなんて、ばかのすることです。まあ私のような例はまれで、多くの人が恩恵を受けることになるのですから必ずしも悪法とはいえないのかもしれません。しかし私のような者も少なからずいるでしょうから、生活を毀損される者を産んでいる法律ということになります。

  ごまかしの二つ目は、年金を含む社会保険制度の実質的な破綻です。少子高齢化によって労働人口が減少することはとっくの昔にわかっていたはずです。5年に一度実施している国勢調査だけからでもそれは読み取れますし、20年以上前から始めた「技能実習制度 」により受け入れている外国人がいなければ成り立たない業種が増えていることも、その根拠として有力です。しかもこの実習生は「もちろん 」社会保険加入の対象とはしていません。そしてついに支え手を増やしてこの制度を維持しようとするのが昨年の加入条件改定です。この改定はどうも半強制のようで、私はまだ確認していませんが年金法規定の特例で「 70歳以上の労働者は希望してかつ会社側が合意すれば厚生年金に加入できる」をねじ曲げて労使双方に押し付けているとしか考えられません。私が働く会社に聞いてもそのことについては触れようとしません。「何歳だろうが8万8千円以上の収入があれば社会保険に加入させろ!」(他にも条件がありますが)ということです。しかしこの金額から社会保険料を差し引かれた手取額でどう生活しろというのか。計算できないわけではないのでしょうが、彼らは自分たちの手落ちを認めず弥縫策を決定するだけです。こんなもの政治でもなんでもありません。小学生の「学級委員会 」より悪質でしょう、なんといっても「法律 」ですからね。しかし自分たちはおおっぴらに脱税に等しい行為で懐を暖めているのです。現代の悪代官としかいえません。そのうえここまでして年金受給者の支え手を増やしたとしても、人口減少は止められませんから、遠からず破綻します。年金受給者数がこれからまだまだ増加することを考えると、その年金額がさらに減るのは目に見えています。これでは若い人たちが将来を悲観するのも無理はありません。そのうち「長生きは敵だ! 」なんてことになるかもしれません。

 ただ、こんな自民党議員を国会に送っているのはもちろん有権者です。「他に投票したい党がない 」「親の代から自民党支持だから 」「どこに投票したらいいのかわからない 」などという非常に消極的かつ幼稚な理由で自民党議員に投票する有権者が大半のようです。この際はっきり言いますが、その程度の国民に選ばれるのだからこんな陋劣議員があふれるのは当然なのです! そういうあいまいな理由があってもいいとは思いますが、まずは政策の吟味です。この国の未来を具体的に示すことができる者を国会に送る、それが有権者の責任です。その責任を長らく有権者自身が放棄してきた結果、敗戦後80年経ってもアメリカの半植民地から脱することができません。真っ正面からこの事態に取り組む政治家を選ぶ、たとえばそういう見識を有権者が持ち、また日常的に投票した議員の言動を監視するぐらいの意識を持たなければ今回のようなスキャンダルは繰り返されてしまいます。そうしなければ彼らはついに緊張感というものを持つことはないでしょう。次の選挙でふたたび三たび国会へ行かせてもらうには、何をどうすればよいのか、といつも考えさせるようしむける必要があり、またそれができるのは有権者だけなのです。有権者にそういう意識がないのが、こんな節操も倫理も捨て去った議員がはびこる最大の原因です。選挙を棄権するなど、言語道断です!選挙をなんだと思っているのか。「どうせ何も変えられない 」と言う数が多いほど何も変わらず、「自分だけはあきらめない 」と考える有権者が増えるほど、変わる可能性は大きくなります。言い古されたことですが、全員が「どうせ私の一票でなんか何も変えられない 」と考えれば何も変わらず、全員が「 自分の一票だけでも無駄にしないで投票にいく」と考えると、おや、可能性がでてきませんか?

 政治は私たち一人一人の生活に直結しています。政治家の権力争いばかりが報道の中心になる傾向がありますが、私たち有権者にとってはそれも次の選挙の重要な判断材料です。自民党の政治ではこの国の未来は開けません。ではどの党なら、だれならそれができるのか、という問いには明確な答はありません。対象がどこのだれであろうと有権者が選挙権を武器にして「政治を育てる 」という決断と忍耐が、いまほど必要な時はないでしょう。「政権担当能力のある党は自民党以外にないじゃないか 」という論は、この国の政治を良くする気がない者のいいわけに過ぎません。「政権担当能力 」というものが裏金をせっせと作ってためこみ、国民を忘れた政策を繰り出し、自分の仲間だけに利益をばらまく、ということなら、それはただの反社会勢力です。理想の政治が或る日天から降ってくる、ことはありません。有権者の意識が少しずつ良いモノに育て、変えていくのです。今回の愚劣な行為を行った議員たちに投票した有権者も、彼らと同様に非難されるべきですし反省もしてほしいですね。次の選挙で失地回復を計るのか、それともこれまで同様惰性で自民党議員を選ぶのか、私は大変興味があります。責められるべきは有権者である、とまで私は考えていますから。

 

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